ONE PIECE 970話、カイドウはおでん様に対してロジャーと白ひげの『甘さ』について言及するシーンがありました。
今回はそれについて考察して行きます。
カイドウは自分の嘘に騙され、五年間バカ殿を演じ続けたおでん様に対し、
それはロジャーや白ひげのような妙な甘さを持つ連中と旅をした影響だというような内容のセリフを吐いていましたが、
ロジャーと白ひげの『甘さ』とはなんの事を言っているのか?
カイドウはロックス海賊団時代には白ひげとは仲間であり、ロジャーは明確な敵でした。
白ひげは若い日に富や名声よりも家族が欲しいと口にする男でしたが、
裏切りや仲間殺しが横行していたというロックス海賊団の中では『変わり者』であり『異端児』だったんじゃないかと思えます。
略奪や誘拐、殺人など当たり前の海賊の世界で一番欲しいものが『家族』であるなんて、『甘い』としか思われないでしょう。
また、ロジャーにしてもカイドウから見れば海賊というより冒険家でロマンチスト。
ロマンの為に世界政府の法を破っているだけで、何を考えていて、何が欲しいかなんてカイドウにはおよそ理解できなかったのではないか?
白ひげにしてもロジャーにしても、欲しいのは信頼できる人間との絆であり、思うままに生きる自由だったでしょう。
また、彼らは決して他者を支配しようとはせず、自分達の自由を妨げるような存在としか全力では戦わない…
カイドウからすれば、彼らのような考えでは決して自由に思うまま生きる事はできない!
自分が自由に、思うままに生きんと欲するなら、全てを支配する権力こそを欲するべきなのだと。
手段など選ぶ必要はない!
本当の自由を得るには誰も逆らえない圧倒的権力か必要である。
それを得るためには手段など選ぶ必要はない!
ワノ国過去編を見ていると、カイドウはそんな思想の持ち主であるように感じますが、実際、カイドウはおでん様を騙しており、
ワノ国ではオロチと共に誰も逆らえない支配体制を確立し、また向かってくる敵に対しても、ただ倒すだけでなく、その心をへし折って支配しようとする癖があります。
カイドウは四皇らしい強さと器の大きさ、更に狡猾な智謀を持ちはするものの、その品性は極めて下劣だと言わざるを得ない。
他者を踏みつけにして、その上に自分の幸福を築かんとし、それを一切恥じる事がないのならば、それは人道に沿った思想行動だとは言えず、
また許せない事に、カイドウにしてもオロチにしても、自分が不幸にした人間が苦しむ様子を見て嘲笑っている事です。
これにはもう、完全にイカレ天竜人共と何の差異もないと感じ、共感や同情の余地など微塵もない!
ロジャーや白ひげの人間らしさを『甘さ』だと断じてしまうような思想の持ち主ですので、その精神は人間ではなく鬼畜生と言わざるを得ない。
人間が生きる世界で人間らしさを否定して生きて、生き続けていけるという考えの方が甘さであると感じられます。
世の中は一部の身勝手な人間の振る舞いが、いつまでも罷り通らないようにできているものである。
ロジャーは海賊王となり、白ひげは伝説となっている。
カイドウはまだ不死身なだけで何者にもなっておらず、四皇とは言われながら、その実は単なる一悪党に過ぎません。
それから脱する為に戦争を起こして名を歴史に刻もうとか考えているなら、もう正直ありえないです。
その戦争起こす為にどんだけの人間を不幸にしてきたのか?
また、その戦争で更にどんだけの人間を不幸にするのか。
早くルフィ等にぶちのめされる日が来る事を願うばかりです。